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宇宙線で“透かして”見る

レントゲン検査には、放射線の一種であるX線が使われています。これは、X線が「低密度の物体(皮膚など)は通り抜けても、高密度の物体(骨など)はなかなか通り抜けられない」という性質を持つためです。

しかし、同様に巨大建造物や火山の内部を調べようとしてもそうはいきません。表面を覆っている土や岩の塊は、X線やガンマ線をほとんど通さないからです。

そこで、宇宙線であるミューオンを使います。ミューオンは、高密度の物体でもある程度通り抜けることができ、内部を“透かして”見ることができます。これにより、古墳の構造から火山内のマグマに至るまで、破壊することなく調査できるようになりました。いずれはレントゲン検査のように、火山の健康診断ができるようになるかもしれませんね。

 

古墳の内部を通り抜けるミューオンの模式図。
空洞があるとミューオンは通り抜けやすくなるため、
石室などの空洞の位置を推測できる。

 

参考文献:宇宙線ミューオンラジオグラフィ | 名古屋大学理学研究科 F研 https://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/appli/muon/ 、 石黒 勝己. (2018). ミューオンラジオグラフィーによる日本の古墳研究. 日本写真学会誌, 81(3), 258-262. https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst/81/3/81_258/_article/-char/ja 、 田中 宏幸, 竹内 薫. (2014). 素粒子で地球を視る:高エネルギー地球科学入門, 東京大学出版会.

 

執筆者:あきもと

2021.01.05